この胸が痛むのは
姉が退室してからも、姉の事を知ろうとされている?
やり方はどうであれ、クラリスは殿下に強い印象を残すことに成功したのでしょう。


これから両親と姉、そして我が侯爵家にどのような御沙汰があるのかよりも、それを気にしている私は親不孝な娘に堕ちていました。


その後、マーシャル伯爵夫人が来られて気まずいままの食事が始まりました。
夫人はとても明るい方で、この方がお育てになったからアシュフォード殿下が纏う雰囲気が温かなのだ、と改めて感じ入りました。

それで、自然と話題は殿下の幼い頃のエピソードを披露していただいたりして、時間が経つに連れて、殿下との間に気まずさはなくなってきたのですが。


それでも。
クラリスが残していった例のプレゼントに殿下が大変お喜びになり、
『私の話したことを覚えていてくれていたんだね。
 これはどこのお店で売っていたの?』と、聞かれても何も答えられず。
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