この胸が痛むのは
アンナリーエ嬢とも、昼食がてらホテルのレストランで久々に会う。
驚くのは、まだ18歳の彼女が赤ん坊を抱いていた事だ。
彼女は16で、平民が通う王都学園を中途退学して。
夫を得て、実家のホテルを継ぐ事になり。
……その隣に居る夫は俺の知ってるパエルではなかった。

パエルは気持ちのいい男だったので、今回会えるのを楽しみにしていたのに。


「パエルですね、直ぐに連絡を取って、こちらに呼びましょうか?」


アンナリーエ嬢の言葉に耳を疑う。
隣の夫もニコニコしていて……別れたんだろ、どういう事だ?
信じられない事に、夫はパエルの友人で、彼の浮気を思い込み相談する内にそういう仲になり……だそうだ。
浮気は彼女の気のせいだったのに、恋人と友人に裏切られたパエルの心境は如何ばかりか。
俺だったら、もしアグネスとレイがそうなったら、立ち直れない、泣く。

< 403 / 722 >

この作品をシェア

pagetop