この胸が痛むのは
自分でも、器用な方でないのはわかっている。
アグネスが度々起こす発作の原因を探る為に、
自分の方から先生に助けを求めた。
ひとりでは何も出来ないのがわかっているから、出来ることはしたいと思っているのに。 

こちらからはうまく話題を誘導出来なくて。
もうすぐ到着するのにと臍を噛む思いでいたら、彼女の方から話してくれた。


「ストロノーヴァ先生はお変わりになられました。
 殿下も驚かれると思います」

先生からも聞いていた。
この3年で、ふたりが会ったのは1度だけ。
去年のオルツォ侯爵令息のデビュタントの夜。
きっと、貴族として正装をしている姿で会った
感想だ。  


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