この胸が痛むのは
踊りながら違和感があったのでしょう、途中で曲を止められて、私は壁際に寄せられていた椅子に座らされていました。


「足を見せて貰える?」

「……」

「痛がっていただろう、 庇ってるね?」

殿下は私の足元に片膝をついて跪いて、立てた
左膝の上に私の足を乗せて、ダンスシューズを
脱がせて下さいました。
4月の15歳の誕生日に送ってくださった靴先が
薄紫の水色のダンスシューズでした。

私の両足の踵と右の小指、左の中指が少し赤く
なっていて。


「……サイズが合わないの、黙っていたの?」

責めるのではなく、悲しそうに殿下は仰せになったので、慌てて否定しました。


「いただいた時はピッタリでした!」

「……君は俺の知らないところで、どんどん大人になっていくね」



その事があったからでしょう、ドレスサロンから届けられた時、ドレスに合わせた靴がサイズ違いで何足も用意されていました。
殿下が帰国前にサロンに連絡して、直前の私の サイズに合った靴を届ける様に伝えてくれていたのです。
その靴を馴染ませる為に、バロウズの邸に戻ってからは普段もずっと履いていました。



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