この胸が痛むのは
「……」

「次から気を付けるね、これからも溜まってきたら言いなよ、だけど3回言わせるのは1回に勘弁してくれ、くらいの受け止め方は……
 やっぱり、駄目なんですか、軽過ぎますか?」


俺はうるさいと言われるくらい謝っていなかった。
プライドを捨てて謝っていなかった。


「アグネスに……もう一度。
 侯爵家に戻ってもいいかな」

当然、とノイエが頷いて、天井を叩き、御者に
合図をして停めさせた。
小雨の降り続くなか、濡れるのも構わず、彼は
御者に侯爵家に戻るように伝えた。


その時、1騎の馬が近づいてきた。
ノイエが腰の剣に手を掛けて、馬上の騎士を睨んだ。

スローン侯爵家の私設騎士隊の騎士だった。
アーサーが早馬を出して、俺の馬車を追いかけさせたのだ。


「畏れながらお戻り願えますか?
 お嬢様がお部屋に籠られたと申し伝えるように、言付かりました」

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