エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません

恥ずかしいから言わないけれど、実は今でも通勤に使っているのだと大和が知ったらどんな反応をするだろう。

彼はプレゼントしたことを覚えているのかもわからないけど、瑠衣にとっては大切なものだ。

大和が大学卒業し、就職してからもたまに家に来ていたけれど、頻度はグッと減った。

司法修習で忙しくしていたらしく、依子は大和が来るたびに日持ちするおかずを持たせてやっていた。

さらに彼がアメリカのロースクールへ留学に行くとまったく会わなくなり、再会したのは瑠衣が大学四年生の頃。大和は二十八歳になっていた。

帰国を祝うため、英利が若手の弁護士を何人か家に呼び、依子は腕によりをかけて料理を振る舞った。

久しぶりに大和が家に来る。そう考えるとなぜかそわそわと落ち着かない気分だったけれど、それを隠して努めて普段通りにしようと玄関で瑠衣が出迎えると、大和がこちらを見つめたまま大きく目を見開いた。

『瑠衣?』

名前を呼ばれると、前にも増してカッコよくなっている大和にドキドキと胸が高鳴り、普段通りにしようという努力はいとも簡単に破れてしまった。

『お、おかえりなさい』

あまりにも大和がじっと視線を浴びせ続けるせいで緊張し、〝お久しぶりです〟や〝いらっしゃいませ〟が出てこず、『おかえりなさい』と声を掛けてしまった。

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