エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
* * *

八月になり、外に長時間いると命の危機さえ感じるほど暑い日が続いている。

瑠衣と大和は休みを合わせ、ふたりで婚姻届を提出した。その左手の薬指には、先日受け取りに行った揃いの指輪が嵌められている。

書類の不備もなく、あっさりと婚姻届が受理され、そのままいくつかの名義変更の手続きを済ませた。

今この瞬間から、瑠衣は〝如月瑠衣〟ではなく〝高城瑠衣〟となった。

「なんだか実感が湧きません」
「聞いてはいたけど、思った以上にあっさり受理されるものだな」

書類を受け取った男性職員は事務的に手続きを進めて、にこりともせずに「はい、これで大丈夫です」と言うだけだった。

瑠衣はそれを思い出して苦笑しながら頷くと、大和に向き直り小さく頭を下げた。

「改めて、これからよろしくお願いします」
「こちらこそ」

柔らかな眼差しで見つめられると、自然と頬が熱くなる。

「さて、これからどうする? 家に帰る前に実家に寄る? 入籍の報告をしたほうがいいかな」
「あ、いえ。もう必要なものはすべて運びましたし、先週挨拶にも来てくださったので十分です。私も昨夜と今朝、両親に改めて挨拶はしましたから」

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