【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
 エルツェ公爵邸の静かな夜でのこと。
 オズの執務室では、彼の側近であるロルフが眼鏡をくいっとあげて、王宮での本日の様子を伝えていた。

「やはり、王太子様もうちのとくに東側辺境部の領地改革の進捗について気になっておいででした」
「やはりそこか。これ以上は引き延ばせないな。数日後に提案書を持って向かうと伝えておいてくれ」
「かしこまりました」

 ロルフは一礼した後、部屋をあとにした。
 オズはため息を一つ吐きながら灯りを見つめて呟く。

「どうしたものか……」

 頬杖をついて一息したあと、再び彼は仕事にとりかかった──
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