【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
 馬車でのオズの言葉の意味がようやくわかったフィーネは、エルゼとリンの顔を見て思う。

(味方……私には、今の私には味方がいる。とても嬉しいこと。光栄なこと。ならば……)

 フィーネは二人を交互に見ながら部屋中に響き渡る声で言う。

「やらせてください! ご指導お願いいたします!!」

 その言葉にエルゼとリンは顔を見合わせて微笑み、エルゼはフィーネの肩を上げてその翡翠色の目をしっかり見つめて言った。

「一か月後にこの屋敷であなたのお披露目パーティーが開かれるわ。それまでにマナーをきちんと理解して身につけること。いいわね?」
「はいっ!」

 その威勢のいい返事にエルゼは嬉しそうに微笑みながら、手を叩きながら告げる。

「私の指導は厳しいわよ~! 覚悟しなさい!!」
「よ、よろしくお願いいたします!」

 こうして公爵夫人教育の日々が幕を開けた──



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