逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~

 千春と幹夫は再婚。
 幹夫には当時3歳の男の子・圭吾(けいご)がいたが、千春が気に入って結婚に至った。

 結婚後1年余りで彩が産まれた。
 異母兄妹として、仲良く育って来た圭吾と彩だが、彩が3歳になった日に幹夫が行方不明になった。
 ある日普段通りに出勤して行った幹夫だったが、帰ってこなかった。
 捜索願も出し探しても見つからない幹夫。
 幹夫の両親も同時に行方不明になり、どこに行ったのか手掛かりすら見つからなかった。

 行方不明から3年後に、失踪宣告を出し7年経過して死亡扱いになった幹夫。
 千春は遺体も見つからない事で、葬儀は行わず、幹夫の代わりに働く事になりホステスになった。
 
 昼間は寝ているか、店のお客と外出していていつもご飯は作り置きかレンジで温める物ばかりだったが、圭吾にはお金を握らせ美味しいものを食べるように言っていた千春。
 彩には家にある残りもにしか食べさせず、いつもお腹が空いた状態だった。

 学校給食もあまり食べない彩は、小食で通っていたが、本当は温かいご飯やもっとおいしいものが食べたいようだった。

  
 彩が中学に入ると、千春は家に帰らない日々も多くなった。
 いろんな男と関係を持ち、家に連れこんでくることも多かった。

 そんな中。
 彩はろくにご飯も作らない、生活費も入れない千春に見切りをつけ中学2年生の頃から夜遊びを始め援助交際を始めた。
 お金をくれる男の為なら体を売ることなど平気だ! と言っていた彩。

 彩が中学3年生になった頃。
 兄の圭吾が行方不明になった。
 ある日忽然と姿を消した圭吾。
 
 行方不明になる前に彩の悲鳴らしき声が、何度も家の中から聞こえて来たという証言もあるが、母親はホステスをやっていて夜は家におらず、昼間は寝ているか男と遊んでいて家にいない為詳しい事が判らなかった。

 彩に聞いても知らないと言うだけで、未だに圭吾は行方不明のままで失踪宣告が出され見つからないまま亡くなった事にされている。

 残された彩に母は無関心のまま、男性客と夜な夜な遊びようになり家に帰らなくなった。
 
 彩は援助交際で学費を貯め、自分の力で高校へ進学した。
 中には愛人状態になってほしいという男もいて、月に20万円支払ってくれる男がいて、彩は千春がいるよりぜいたくな生活が出来るようになっていた。

 高校生になり優衣里と知り合った彩は、優衣里の家によく遊びに行くようになった。
 そして夕飯をご馳走になったり、週末になると泊まり行く事も多くなった。
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