私が愛した人は…
戸を開けると、組員の人達は揃っており、一斉に新年の挨拶をしてきた。

暁さんは「おめでとう」と、返して言った。

私も「おめでとうございます」と、返した。

1番前には、5人席が横一列に並んでた。

一番端には、龍が座っていた。

「あけましておめでとう。龍」

「おめでとう」

龍と暁さんの間に、座った。

「お見えになりました」

杉野さんが、戸を開けた。

すると、さっきみたいに『あけましておめでとうございます』と、組員さんは頭を下げた。

暁さんと龍は下げてなかったけど、私は頭を下げた。

「鈴。頭上げてていいぞ」

暁さんに言われ、頭を上げると

「あら?貴方、昨日の…」

目線があった女の人は

「あ。昨日の…」

昨日ハンカチを拾って、タクシー乗り場まで荷物運んだ女の人だった。

みんな不思議そうに見てきてる。

「貴方だったのね。暁の彼女って!」

小走りで私の前まできた。

「お袋と知り合いなのか?鈴」

暁さんが聞いてきた。

「鈴ちゃんって言うのね!暁と龍の母親の、香純です」

私の手を握ってきた。

まさか、暁さんと龍のお母さんだったとは。

「木下 鈴です」
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