私が愛した人は…
龍は制服に着替えていた。

「あの、四條さん。手、離してもらっていいですか…?」

「なんでだ?」

なんでって…

さっきから、すごく見られてる。

四條さんといるだけで注目すごいのに、手繋いでるから、更に注目されている。

「手繋がれるの嫌か?」

「い、嫌じゃないですけど…」

「じゃあ、問題ない」

手を繋いだまま、回ることに。

「四條様」

誰かが四條さんに、声を掛けてきた。

あ、この人あの時の先輩だ。

えーと、確か名前は…

「初めまして。三好 沙也加と言います。父がお世話になっております」

そうそう。

三好さんだ。

父がお世話になっておりますって、この人も令嬢?

「三好組の娘さんですか」

三好組?

組の方か。

いつもなら素通りする四條さんけど、仕事関係ってなるとそうもいかない。

「父が最近、四條様と会食行ってると聞いたので。一度ご挨拶しとこうと思いまして」

もしかして、最近の会食はこの人のお父さんと?

「わざわざ、ありがとうございます」

「この後、お時間いかがですか?もしよろしければ、私がご案内します」
< 96 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop