風と共に去らなかった夫になぜか溺愛されています
☆☆☆

「グロリア。お前の縁談が決まった。ブレア辺境伯だ。向こうがどうしてもお前を娶りたいと言ってきて、だな」
 父親の口が重いのは、グロリアの性格とブレア辺境伯との年齢差を考えてのことかもしれない。このときグロリアは十七歳、ブレア辺境伯は確か二十九歳だったような気がする。十二歳くらいの歳の差など、この世界、この時代にはわりとあること。

「お前も知っている通り、ブレア領は我が国にとっては重要な領地だ。隣国のシチノルに寝返られたらたまったもんじゃないからな。お前がそこに嫁ぎ、ブレア伯の動きを逐一報告しろ」

「承知いたしました」

 あまりにもグロリアが素直に返事をしたことから、父であるガトン公も驚いていた。

「お父さま、何か?」

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