風と共に去らなかった夫になぜか溺愛されています
「いや、お前のことだから、文句の一つや二つ言うのかと思っていたから。もしくは、この縁談は嫌だ、と泣き叫ばれるかと思っていたから、な。拍子抜け、だ」

「お父さま。私だってお父さまの娘。今、この国がどのような状況におかれているかくらいは理解しております。それに、お兄さまとマリッセ様の結婚もようやくまとまったところ。私が小姑としてこの屋敷に居座っては、新婚の邪魔になりますわ」

 本音を言えば、その新婚生活を扉の隙間からそっと覗いてみたいところではあるが。

「そうか」
 父親は満足そうに頷いた。
 こうして、本来は嫁ぐはずのなかったブレア伯へと嫁ぐことになったグロリア。
 それもこれも兄バセクとマリッセの幸せのため。

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