陛下、たとえあなたに「ぼくらの間に愛などない」と宣言されたとしても、事故死する運命を避けることが出来なくても、私はあなたを愛し続けたいのです

し、死んだはずなのに……

 寝台の上で天蓋を見つめつつ、冷静になろうと努めた。とにかく落ち着いて、いまがどういう状況なのかを考えようと必死になった。

 だけど、普通はそんなこと無理に決まっているわ。

 起き上がると寝台からおり、素足のままテラスのガラス扉へと近づいた。

 それを開けると、バラの香りと冷気を含んだ外気がふわりと飛び込んできた。

 そのお蔭で、じょじょに落ち着きを取り戻してきた。

 今朝は寒いわね。

 寝台に戻り、そこに腰かけた。
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