王子は香水姫を逃さない

城への招待

 「キース、すぐに調べてくれ。」
 アーサーは、城へ戻るとロゼリアについての調査を頼んだ。
 全くどういうことなんだ。なぜ、ロゼリアがここにいる。そして、なぜ町娘になっている。貴族なのに、どういうことなんだ。
 イライラとアーサーは考えながら、部屋をぐるぐると回っていた。

 「ロゼリア様のことですから、何かするのではないかと思っていました。殿下がこちらに来るというときも、物わかりよくあまりこじれませんでしたよね。」
 キースは、そういいながらエリンも自分に対してそうだったと回想していた。

 「はー。ロゼリアの突拍子もないところは長所であり短所でもある。それより心配は……。」
 「わかっております。皇太子様がロゼリア様へ興味を持っているということですよね、殿下。」
 「あんな格好をしてごまかしても、僕らにはすぐに分かる。彼女が美しく、町娘ではないということが。……だから待っていてくれと言ったのに。」
 アーサーは、皇太子がロゼリアの手を握っているのを目の当たりにし、嫉妬すると同時にいやな予感を抱えていた。

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