もう一度あなたに恋したときの処方箋
「少しは太ったか~とか、ブロッコリーやチョコレートも貧血にいいぞ~とか」
「信じらんない! あのヘタレ!」
私は場所を忘れて思わず声を荒げてしまった。
「エリちゃん、声抑えて!」
「ゴメン。驚きすぎちゃった」
慌てて小声に切り替えた。周りの人は気にしていないらしくホッとする。
「高木さんは、佐藤の罪滅ぼしをしてるだけだよ」
「鞠子……」
「もう気にしなくていいのにね」
寂しそうな鞠子に、なんて声を掛ければいいのかわからなかった。
「今でも、好きなの?」
無理やり作った鞠子の笑顔は苦しげだった。
「もう二度と好きにならないって、エリちゃんに宣言したのにね」
髪型を変えて、服装も明るいものにして、それはきっと高木次長だけのためなんだ。
「そうだったっけ? 昔のことは忘れたよ」
わざとらしく、過去のことは忘れちゃったとうそぶいた。そうしない、鞠子は前に勧めない気がしたんだ。
食後のコーヒーが運ばれてきてから、鞠子はポツンと呟いた。
「誰かを好きになるって厄介な気持ちだよね、エリちゃん」
私は直ぐに返事ができなかった。今の鞠子に、なんて答えるのが正解なのかわからなかった。