もう一度あなたに恋したときの処方箋


昼休みに鞠子と会社近くにある古風な喫茶店でランチを食べながら話を振ってみた。
ここは昭和風のメニューが嬉しい店でナポリタンが絶品だが、あまり会社関係者が来ないから私たちの隠れ家になっている。

「それで、その後どうなの?」
「その後って?」

「じれったいわね。高木次長のことよ」

私が詳しく聞き出そうと思っても、鞠子はまったく反応がない。

「次長?」
「もう、鞠子ったら。結構な噂になってるわよ」

「え、どんな噂?」

真顔で聞いてくる鞠子の鈍さに頭を抱えたくなってきた。

「付き合ってるってレベルじゃなくて……婚約したとか?」

ようやく鞠子が慌て始めた。

「まさか!」
「ホントだよ」

「私、誰とも付き合ってないし、婚約なんてとんでもない!」

鞠子は至極真面目な顔をしている。

「高木さんとは仕事の話しだけだし……あ、時々は体調を聞かれるかな」 
「へ? なにそれ?」


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