イケメン検事の一途な愛
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豪華すぎる夕食を済ませた俺らは、腹ごなしに少し散歩をすることに。
広大な敷地内にある手入れの行き届いた遊歩道を、浴衣に羽織りを合わせたいで立ちで肩を並べてゆっくりと歩く。
すっかり暗くなった海は水平線がどこにあるのか分からないほど漆黒にのまれているが、時折聞こえる波音と潮の香りが余暇気分を満喫させる。
「寒くない?」
「ん、大丈夫」
飲み過ぎたのか、火照った頬に手団扇で風を当てる彼女。
足下を照らすライトが彼女を艶やかに演出する。
景色を堪能してるのか。
無言のまま歩く彼女。
何か声を掛けないと俺自身が耐えられない。
「んっんッ……」
「あ、喉が痛い?」
「いや」
無理やり咳払いした俺を心配して顔を覗き込んで来た。
「良かったぁ」
「俺のこと心配なんだ?」
「もちろん、心配だよ」
「へぇ」
「何、その顔」
「……秘密」
俺が喘息持ちなことをしっかり覚えている彼女。
咳払いしたくらいで心配して。
表情から動揺したのが見て取れた。
それが堪らなく嬉しくて。
こんな持病を抱えるもの悪くないと生まれて初めて思えた。
俺の言葉にイラっと来たのか。
彼女はプイっと頬を膨らませ、俺の少し前を歩き出した。
そんな彼女を後ろから見つめて……。
ふんわりと緩くウェーブかかった髪。
華奢な首と艶気のある襟足。
帯の下で左右に揺れる可愛いお尻。
そして、チラチラっと素肌を覗かせる足下。
ん~、イイ女すぎる。
両手をフリーにしたら今すぐ彼女に触れてしまいそうで。
暴走しないように必死に自制心を呼び起こし、腕組して彼女を追う。