離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 純玲が一番気に入ったのは青みがかった紫色のドレスだった。
 
 優しい色合だが身体に自然と沿うデザインでかわいすぎない。
 袖なしでデコルテは透け感のあるレースで切り替えられていて涼しげだ。
 シフォン素材のスカートは裾の部分が波打っていて優美で柔らかな印象。着てみたら着心地も軽くて肌当たりもとてもいい。

「泰雅さん、これすごく好きです」

「……あぁ、とても似合うな」

 試着室から出て披露すると一瞬息を飲んだあと溜息をつくように言うから、彼の心からの言葉に思えて純玲の胸は高鳴る。

「あの……これに合わせたくて」

 純玲は赤くなりそうな顔を誤魔化しながら、鞄の中に大切にしまっておいたブレスレットを取り出す。
 泰雅と再会した日にもらったプラチナのブレスレットだ。

 着用してみると、華奢だが存在感のある輝きが青紫の優しい色によく似合い、ドレス姿を引き立ててくれるような気がした。

「そのドレス合わせて新しくアクセサリーを準備してもいいが」

「いえ、このブレスレットを着けて行きたいんです。泰雅さんにもらった宝物だから」
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