離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
「わ、わ、私っ……!」
 昨夜の記憶がフラッシュバックする。思わずベッドを飛び降りたのだが、つま先が床に着くと同時に思わず床にへたり込む。足腰に力が入らない。

「あぁ、なんてことを……」
 純玲は膝を付きながら両手で頭を押さえた。頭痛がするわけではなく、文字通り頭を抱えたのである。

 己の記憶が正しければ昨夜この部屋で純玲は“一夜の過ち”を犯してしまった。

 何とか立ち上がり恐る恐るベッドを振り返って確認したが、その相手は不在だ。フラフラ立ち上がりメインルームを確認するが、人のいる気配はない。シャワーを浴びているわけでもなさそうだ。

 無理もないと思う。自分たちの関係性を考えたら、お互い酔った勢いとはいえ一線を越えてしまったことに彼は罪悪感を覚えたはず。きっと自分と顔を合わせづらくて先に部屋を出たのだろう。
 申し訳ないやらほっとするやら、複雑な感情と共にベッドルームに戻り鞄からスマホを取り出す。

「わ、もうこんな時間」
 もうすぐ午前10時になろうとしている。随分とゆっくり寝てしまったらしい。自分も早くこの部屋から出なければ。
 
 昨日は余裕がなくてあまり認識できなかったが、やっぱりハイグレードな部屋だ。
 ただでさえこのホテルはラグジュアリーで全国的にも有名なホテル。相当な宿泊料になるはずだ。
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