離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 彼のことだからきっと支払いも済ませてるんだろうな。もししていなかったらカードで支払おうなどと、つとめて現実的なことを考えて心を落ち着かせる。

 しかし、何気なくメッセージをチェックした純玲は危うくスマートフォンを手から落としそうになる。

『おはよう。身体は大丈夫か? ひとりにしてすまない。用事があるので少し出てくる。レイトチェックアウトにしてあるから部屋で待っていて』
 それは彼からのものだった。どうやらこの部屋に戻ってくるつもりらしい。

「ど、どうしよう」
『身体は大丈夫か?』なんて聞かれると昨夜のことが生々しく思い出されてしまう。

 彼は初めての純玲の為にじっくり時間をかけて抱いてくれた。それはそれは丁寧に……。
 自分の痴態が蘇り、ひとり真っ赤になる。酔ってはいたけれど大体のことは覚えている。

「無理。どんな顔して会ったらいいか分からない……ていうか、会わす顔がない。戻ってきちゃう前においとまさせていただこう。うん、それがいい」
 自分のメンタル的にこの場で彼を待つわけにはいかない。純玲は逃亡を決めた。シャワーを浴びたかったが時間がないし、そもそも体は拭かれたかのようにサッパリしている。
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