離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 布団の中で色々と思いを巡らせる。昨日はかなり混乱してしまったが、真実を知った今、落ち着いて捉えることができていた。

 泰雅が昨日純玲に言い訳をしなかったのは、真実は両親から、当事者から想いと共に聞くべきだと思ったからだろう。

 そのおかげで、純玲も現実を冷静に受け止める事ができた。やっぱり、彼は大人だ。

 でも、と昨日の彼の表情を思い出す。

 純玲が泰雅を感情的に責めた時、彼は取り乱す様子はないものの、表情は傷つき悲しんでいるように見えた。

 『純玲、これだけは信じて欲しい……子供、俺は本当に嬉しいと思ってる。体を大事にしてくれ。落ち着いたらもう一度話をしよう』

 別れ際にそう言った彼の顔は言葉と裏腹にもう二度と会えないと思っているんじゃないかと思うくらいに切なく歪んでいた。
あんな辛そうな顔、今まで見たことがなかった。

「泰雅さん……」

 純玲は布団中でそっとお腹に手を当てる。

(この子の幸せを最優先に考えたい。それが私の幸せだから。そのためには……)

 
 久しぶりに実家で朝食をいただく。
 まだ多少胸がムカムカするが、母が気遣って出してくれたヨーグルトとキウイは美味しく食べることができた。
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