離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
「白石も君を利用しようとしていたのではないのか? それなら結婚生活を続けることはない」

「社長、私は――」

 後を続けようとしたとき社長室の重厚な扉が勢いよく開いた。

「純玲っ!」

 振り向くと泰雅が社長室に飛び込んできたところだった。

「え……泰雅さん? どうして」

 驚く純玲を庇うように泰雅は社長との間に立った。

「お待ちいただくようお願いしたんですがねぇ」

 やれやれとごぼしながら神崎も入ってくる。

「急に秘書室に乗り込んで来たと思ったら社長室まで突撃されるとは思いませんでしたよ」

 純玲からは見えないが泰雅は雄一郎を見据えているらしく、社長の顔が明らかに不機嫌そうなものに変わる。

「白石先生……慌ててどうされましたか。冷静沈着で頼れる顧問弁護士だと社内でも信頼されている君らしくない」

「妻が、心配でしてね」

「泰雅さん」

 泰雅は純玲を庇ったまま言う。

「百田社長、あなたの真意は僕には正直分からない。ですが、彼女の意思に関わらず無理やり百田で利用するのだけはやめていただきたい」

「無理やり、とは人聞きが悪い」
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