離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 泰雅は自分も検診や両親学校で何度も訪れている病院名を告げる。

「神崎」

「承知しました」

 社長の一言に神崎は次の交差点でハンドルを切り、向かっていた丸の内とは別の方向に進路を変える。

「社長?」

「このまま病院まで送る」

「ですが……」

 分刻みで予定が入っているはずの社長を拘束するわけにはいかないのではないだろうか。
 そう思って神崎を見ると彼はバックミラー越しに優し気な目をさらに細めた。

「この後の社長のご予定はこの優秀な第一秘書が調整しますから大丈夫ですよ」

「君が慌てて行って、事故でも起こされたらかなわんからな」

 おりしも先ほどの妻の言葉と同じことを雄一郎に言われ、泰雅は苦笑する。

「すみません。では、お言葉に甘えさせていただきます」

 神崎はスピーディかつ安全運転で迷うことなく病院まで車を走らせた。

 到着し、病院前で一時停止する。

「お忙しいところ、わざわざありがとうございました。助かりました」

 丁重に礼を言って降りようとしたとした泰雅に「白石先生」と声が掛けられた。

 振り向くと雄一郎がこちらを見てしっかりとした口調で言った。

「――純玲と、子供を頼む」

「社長……」
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