離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 恐る恐る受け取り、腕に抱いた娘はびっくりするくらいの軽さと小ささだ。
 
 その重みに愛おしさが溢れる。

「……かわいいな。純玲にそっくりだ」

「私より泰雅さんに似てない? 目元のあたり整ってるもの」

「いや、鼻は君に似てる。あと額の形、ほら、ここなんて君とそっくりだ」

 お互い産まれたばかりでしわくちゃの娘の顔の中に相手に似ているところを無理やり探そうとして、看護師に笑われてしまった。

 スヤスヤと眠る娘の顔を覗き込みながら、泰雅はふと、この子の瞳はどんな色だろうと思った。

 妻に似た黒かもしれないし、自分に似ているかもしれない。
 はたまたどちらにも似ていないかもしれない。楽しみではあるが、些細なことだ。
 この子はこの子自身の人生を幸せに歩んでくれさえすればいい。その一歩が今始まったのだ。

 やはり命を掛けて愛する家族を守っていこうと小さな重みに心新たにする。

 妻に視線をやると彼女の瞼は重くなっていた。

「純玲、疲れたな」

「ん……さすがに、眠い……」

 長い出産を終えたばかりで相当に疲れているのだろう。

 泰雅は娘を看護師に渡し、新生児用のベッドに寝かせてもらう。

「ありがとう。今はゆっくり休んで」

 泰雅は母になった最愛の妻の髪をそっと撫で、看護師の目を盗んで額に触れるだけのキスをした。



END
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