離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
「純玲、俺を選んでくれてありがとう」

「ハ……ハイ……」

(た、泰雅さん平然としてるけど、悪意と演技力がすごい……)

 何とか彼に合わせることができたが、もうそろそろ限界だ。早くここから離脱したい。

「純玲、夕食どうする? 食べて帰るか?」
 純玲の状況を察してくれたのか、話は終わりとばかり泰雅は優しく囁く。

「あの、ごめんなさい、この後と彼女と食事をするつもりで……」
 泉との約束を反故にするわけにはいかないと言いかけると、横から彼女が被せるように言う。

「私、純玲と同期の武井泉といいます。約束はしていましたが、今日はもういいです。純玲には別途ゆーっくり話を聞きますから」
 早々に平常心を取り戻した泉は秘書モードで美しく笑う。

(でもその別途ゆーっくりが怖い……)

「武井さん、ありがとう。お言葉に甘えさせてもらいます。まだ新婚だし少しでも一緒にいたいだ。今度新居に遊びにきて。歓迎しますよ。ここから徒歩で寄ってもらえるマンションだから」

「ここから近いマンションにお住まいなんですか?」

「20分かからない位かな」
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