離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 ここは東京丸の内。都内の超一等地であり、徒歩20分圏内のマンションがどれだけの価値があるか分からない人間はいないだろう。

「まあ、購入されたんですか?」

「はい、職場に近くて通勤に便利だから買ったんですが、高層階だから東京の夜景も見降ろせるし、思ったより気分がいいですよ」
 
 泰雅の話を聞いた泉の目が光った気がした。

「素敵。さすが高梨・モルトレーのパートナー弁護士ですね。収入も社会的地位も一介の会社員とは格が違いますもの。先生になら純玲を安心してお任せできるわ」

 泉はわざとらしく周囲――まだその場にいる瑠美たちに聞こえるようにいった。

 確かに一流企業の社員とはいえ、管理職にもなっていない肇クラスの会社員の収入も社会的地位は泰雅と比べるまでもないだろう。

 瑠美も肇も顔をひくつかせて、いよいよ明らかに場の空気が悪くなる。でも泉は全く気にしていないようだ。

(泉もすごい。泰雅さんの話に素早く乗っかって、瑠美ちゃんたちにダメージを与えてる)

 さすが入社当時から秘書室に配属されているだけはある。ここぞというとき瞬発的対応能力はさすがだ。
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