俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「若い女性がずっとひとりで心臓マッサージを続けて、AEDも使用していた、と。急性心筋梗塞の死亡は発症初期に多い。その命を救うには迅速で適切な救命処置が必要だ。芙美が行った一時救命措置がなければ、あの男性は危なかったかもしれない」
幸也さんがまっすぐに私を見つめて微笑む。
「芙美が助けたんだ」
力強くそう言った彼の言葉に、喉がぐっと締まって、震えそうになる唇を噛みしめた。視界が揺らめく。
幸也さんの男らしく骨ばった手が私の両手を優しく包んだ。
「お前は俺の最高の妻だ」
「幸也さん……」
鼻の奥がツンとして、瞳からぽろぽろと涙がこぼれる。「泣くなよ」と呆れたように笑う幸也さんの親指が私の頬に流れる涙をさっと拭った。
「泣かせるようなこと言ってないだろ」
「言いました」
ぶんぶんと首を大きく横に振る。
「私が今一番欲しい言葉を幸也さんはくれました。ずっと不安だったから。幸也さんは私なんかよりも未華子先生と結ばれた方が幸せになれるんじゃないかって」
「どうして成田が出てくるんだ」
幸也さんの纏う雰囲気がピリッと引き締まる気がした。
私を見つめる彼の瞳から逃げるように目線を落とす。
「幸也さんは未華子先生と付き合っていたんですよね。お互い仕事のために別れたけど、本当はまだ想い合っているって聞いて」