俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

島野がシートベルトを締めるのを横目に見てから車を出す。

「寒くない? 少し暖房入れようか」
「大丈夫です。快適です」

四月とはいえ夜はまだ冷える日もある。特に今日は冬に逆戻りしたのではないかと思えるほど、日が暮れてからはぐんと気温が下がった。

島野は快適だと言ったが、こっそり暖房を入れる。

ほんの少しだけ車を走らせて、駅から近い場所にあるコインパーキングに車を停めた。そこから歩いて五分ほどの場所にある全席個室の居酒屋に入店する。

予約はしていなかったが、一席だけ空いていたらしい。すぐに席に通されて、テーブルを挟み向かい合って腰を下ろした。

「なに食べる? ここから適当に選んで」

メニュー表を渡しながら声を掛けると、それを受け取った島野がきょろきょろと個室内を見回す。その様子に「どうした?」と声を掛ければ、言いづらそうに彼女は口を開いた。

「意外だなと思って。早瀬先生と居酒屋……」
「なんで? 普通によく来るけど」

むしろこの店は行き着けだ。

同じ心臓血管外科の先輩医師に連れられて初めて来てから、わりと頻繁に来ている。全席個室なのもいいし、なにより食事がうまい。
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