俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

俺はけっこう気に入っている店なのだが、島野はなにやらきょとんした顔を浮かべていた。

「私の勝手なイメージですみません。早瀬先生はもっと高級なお店で普段から食事をしていると思ったので」
「居酒屋で不満なのか」
「いえ、そういう意味ではなくて。意外と庶民派なんだなぁと驚いただけです」

島野がなにを言いたいのかはだいたい理解ができた。つまり俺は、というよりも医者は普段からもっと高級な店で食事をしているとでも思っていたのだろう。

「イメージ崩すようで悪いけど、俺あまり店を知らないんだ。ここも教えてもらって初めて来たし、この店よりもうまいところを知らないからよく来ているだけ。それに、病院からも近いからな」

俺たちの仕事は終わりが読みづらい。患者の容体によっては定時が過ぎても仕事が続くし、帰宅したとしても場合によってはいつ呼び出しがかかるかわからない。

そんな状況で、ゆっくりと外に出掛けて優雅に飯は食えない。そうなると病院や自宅から近い、通い慣れた店にばかり自然と足を運ぶようになる。

勤務形態や働き方にもよると思うが、俺やまわりの医師たちの食事事情は大抵こんなものだ。
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