俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「入院している子供たちの気持ちが少しでも上を向くよう芙美さんなりに考えて、それを行動に起こしているのを私は同僚の小児科医からよく聞くし、この目でもそれを実際に見ています」
普段は違う病棟にいる早瀬先生は私の仕事の様子を知らないはずだから、すべて未華子先生から聞いたことを話してくれているのだろう。実際に見たというのはこの前のプレイルームでのことを言ってくれているのだろうか。
私のことを出来が悪いと言った父に反論するように言い返してくれる早瀬先生の優しさが胸にじんわりと染みていく。
「小児科病棟のクラークとして真摯に働いている芙美さんに、先ほどのお義父さまの言葉は相応しいものとは思えない。訂正していただきたい」
早瀬先生の強い口調に、父は固く口を閉ざしてしまった。
なにを思っているのかはその表情からはわからないが、この場の空気がツンと張りつめているのだけはわかる。
そんな雰囲気に私はおろおろとしてしまうが、隣に座る早瀬先生は堂々と構えていた。その姿が頼もしく思える。
氷のように冷たい空気を打ち破ったのは父の声だ。
「……そうか。すまなかった」
突然の父の謝罪の言葉が信じられず、私は目をぱちぱちと瞬かせた。