切れない縁
しめやかにお通夜が始まった。
受付は父さんの会社の営業部の方々がしてくれた。
会社の人達はコソコソ父さんの噂話をしていた。
札幌の爺ちゃんや婆ちゃんにおじさん家族も駆けつけてくれた。
浩一おじさんの奥さんの明日香おばさんも駆けつけて来てくれた。
***
会社の社員と思われる若い女性2人が自動販売機の前で、小声で話しをしていた。
『井上部長は、本社から不倫して左遷された村瀬さんと不倫旅行中に事故にあったんでしょう?』
『うん。たぶんね〜……確か同期だとか言ってたよね〜』
『不倫旅行中に事故とか…
村瀬さんは前の不倫に懲りずにまた不倫してたって事でしょう? 信じられないよね〜
井上部長の奥さんと息子さんが一番可哀想だよね』
札幌の爺ちゃんと婆ちゃんはその会話にビックリした。
葬式の最後のお別れも遺体が包帯でぐるぐる巻きになっているので棺桶の小窓を開ける事もできず、棺桶の中に花も入れられなかった。
井上の爺ちゃんは気丈な振る舞いで喪主として挨拶していた。
そして父さんは遺灰になって家に戻ってきた。