壊れるほどに愛さないで
「友也とは、元々……結婚するつもりだったし、ストーカーじゃなかったから……それに昨日も友也が、助けてくれなかったら、どうなってたから分からない……だから……雪斗とは」

俺は、もう一度、美織を抱きしめ直した。

「美織が、妊娠……してたら、俺の子かも知れないだろ?」

「ごめ……んね……雪斗の子供じゃない……」

美織の声が、震えて、すぐにまた目尻に涙が浮かんでいく。

「何で言い切れんの?……俺、美織抱いた時、避妊してない」

「え?……」

美織の瞳が大きくなると、溜まっていた涙が、溢れ出した。

「美織の全部、俺にくれるって言っただろ?」

美織の心も身体も心臓も、美織を構成する全てを愛してる。

もうこの気持ちに、後戻りなんてできっこない。

「妊娠してたら、俺と結婚しよ?お腹の子供は、誰がなんて言おうと俺の子供として育てたい。俺は、美織を愛してる」

美織は、首を振る。その度に、美織の瞳から小さな透明の粒が、ころころと床に落下した。

「ごめ……なさい……私、友也と離れられない。友也は、私自身を……愛してくれてるから」

俺は、そのまま給湯室から立ち去ろうとした美織の手首を咄嗟に掴んだ。  
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