壊れるほどに愛さないで
「美織っ!」
美織は、俺を力一杯俺を突き飛ばすと、給湯室から駆け出していった。
「っ……美織、何でだよっ」
俺は、残された美織のマグカップを眺めながら、もう一度、ため息を吐き出した。
明らかに、昨日までの美織と違う。
橘友也が、ストーカーじゃなかった事実が、美織の中で大きかったのは分かる。それに長年付き合った恋人が、自分の危機を救ってくれたのだ。美織の気持ちは、橘友也に一気に傾いたのだろうか?美織は、本当に俺よりも橘友也を愛してるのだろうか?
「そんなのわかんねぇよ……でも初恋なんだよ……ずっと忘れられなかった。俺は、美織じゃなきゃだめなんだよっ」
ーーーーブーッ、ブーッ
スラックスの中のスマホが、震えて、俺は、すぐに相手を確認する。
スマホには、橘友也から、創立記念パーティーの写真のデータが、PDFファイルで送られてきていた。
(とりあえず今は、俺が美織にできることをやるだけだ)
俺は、給湯室から出ると、隣の会議室の扉のプレートを使用中にし、自身のスマホに転送しておいた、卒業アルバムと写真サークルの集合写真を早速、PDFファイルの写真と照らし合わせていく。
(これは、ちょっと時間かかるな……)
写っている人数が、思っていたよりはるかに多い。だが俺と橘友也の仮説が、あっていれば犯人は、この中だ。
ーーーーコンコン。
(来たな)