壊れるほどに愛さないで
「美織、プリンたべよっか」

「あ、何味か当てる」

友也が、冷蔵庫から、駅前のプリン専門店で買ってきたプリンを取り出す。此処のプリンは、ガラス瓶に入っていて、少しお値段は高いが、カラメルも絶妙な甘さで、優しい味のプリンが、私はお気に入りだった。

私は、プリンの入った白い箱に手を当てて、少しだけ推理するフリをする。

「名探偵答えは?」

私は、にっこり笑った。

「苺ミルクと、ハチミツかな」

「ご覧あれ」

友也の言葉に、わくわくしながら、私は、推理の答え合わせをする為に、プリンの箱をそっと開ける。

「さすが、美織は、名探偵だな」

箱の中には、私の好きなハチミツプリンと、いつもどちらにしようか最後まで悩む、苺ミルク味のプリンが並んでいる。

「苺ミルクも一口あげるからね」

友也が、唇を引き上げると、私の前にハチミツプリンをことりと置いた。

「友也、ありがとうね」

「どう致しまして」

私達は、笑い合いながら、蕩けるような甘いプリンに舌鼓した。

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