壊れるほどに愛さないで
「ねぇ、土曜日さ、展覧会見に行かない?」
「え?展覧会?」
「うん、俺、大学ん時、恭平と写真同好会に入ってたって話したよね。今回OBのも展示されるみたいで、俺の写真も美織に見せたいし……一緒に過ごして、もっと美織のこと知りたいから」
小さな罪悪感が芽生えながらも、雪斗と展覧会を見に行きたい気持ちの方が大きかった、私は素直に頷いていた。
「雪斗くん……」
「雪斗」
唇を持ち上げながら、ククッと笑う雪斗に惹きつけられる。
「雪斗のこと……私も、知りたい……」
「じゃあ、デートの約束ってことで」
雪斗が、マグカップを持ち上げながら、ふわりと笑った。
もっと知りたい。
もっと話したい。
もっと雪斗の側に居たい。
この気持ちがどうしてなのか、わからないまま、私は、強く雪斗に惹かれていた。
この時から自分では、分からないうちに、そして、引き返せないほどに、いつのまにか、雪斗に恋をしていた。