壊れるほどに愛さないで
「美織、笑わないで。って、着いたよ。誰にも見つからないうちに営業所入っちゃお」
「うんっ」
子供の頃、両親に内緒でスノードロップの男の子と遊んでいたことを、ふと思い出す。
あの時もこんな感覚だった。両親に内緒にする、小さなスリルと、男の子と二人だけの秘密を共有するドキドキ感。
ーーーーその時だった。
私は、視線を感じた気がして、従業員扉の前で振り返る。
「ん?美織どした?」
振り返っても、道ゆく知らないサラリーマンやOL達が、営業所前の道を忙しなく通り過ぎているだけだ。
「あ、なんでもないの」
雪斗の顔が、何故だが、急に曇った。
「誰かに見られてたとか?」
「え?」
私の心が、読めるわけでもないのに、雪斗が、何故そう思ったのか分からない。
「どし、て?」
「先入ってて」
雪斗は、従業員扉横のポストから、営業所宛の沢山の郵便物を私に腕に乗せ、私を事務所の中に入れると、すぐに扉を閉めた。
「うんっ」
子供の頃、両親に内緒でスノードロップの男の子と遊んでいたことを、ふと思い出す。
あの時もこんな感覚だった。両親に内緒にする、小さなスリルと、男の子と二人だけの秘密を共有するドキドキ感。
ーーーーその時だった。
私は、視線を感じた気がして、従業員扉の前で振り返る。
「ん?美織どした?」
振り返っても、道ゆく知らないサラリーマンやOL達が、営業所前の道を忙しなく通り過ぎているだけだ。
「あ、なんでもないの」
雪斗の顔が、何故だが、急に曇った。
「誰かに見られてたとか?」
「え?」
私の心が、読めるわけでもないのに、雪斗が、何故そう思ったのか分からない。
「どし、て?」
「先入ってて」
雪斗は、従業員扉横のポストから、営業所宛の沢山の郵便物を私に腕に乗せ、私を事務所の中に入れると、すぐに扉を閉めた。