六月の月に愛を誓う。
シワにならないようにと少し名残惜しそうにしながらも離れた梨花が、私をまじまじと上から下まで眺めてきた。


「ちょっとそんなに見ないでよ、恥ずかしい…」

「いやー本当綺麗だよ。さすが私の親友!美緒が幸せで私…」


笑顔だった梨花の瞳から、涙が一粒ぽろりとこぼれ落ちた。


「え、梨花!?どうしたの!?」

「ご、ごめん…っ。まだ泣いちゃダメだってわかってるけど、でも…っ」


どうして梨花が泣いているのかわからなくて、ウロウロと意味もなく彷徨ってしまう。


「美緒が幸せになって、本当に嬉しいの…っ。この日が来るまでたくさん傷ついて、悩んで、泣いて…。そんな美緒を一番近くで見てきたからこそ、今になって感情がこう、ぶわっと…」


まだ泣き続けている梨花をそっと抱きしめる。


「ちょ、美緒…!ダメ、汚れる…」

「梨花が親友で、本当によかった」

「な、何よぉそれ…。そんなの私の台詞だよぉ…」


梨花が小さな子どものようにわんわんと泣いているのがおかしくて思わず微笑む。
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