六月の月に愛を誓う。
続きが気になって仕方ないのに来月になるまでまだ二週間以上もある。


「…続き、貸そうか?」

「…え!?いいの…?」

「うん。全巻持ってるし、その方が早く読めるでしょ。あ、でも自分で買いたいなら…」

「ううん!読みたい!」


続きが読める嬉しさから思わず食い気味になって返事をすると、くすりと笑われた。


「わかった。明日持ってくるよ」


それが、私と矢野くんの出会いだった。





望月(もちづき)さん」


次の日の放課後、帰る支度をしていると後ろからちょんちょんと肩を叩かれた。


「これ、昨日言ってたやつ」

「あ、ありがとう…!」
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