内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
兄に落ち込んだ様子は見られないが、それは果歩を気遣ってのことではないかと思えば胸が痛かった。

だからこそ正社員で就職し、早く自立しなければと焦っている。

「お兄ちゃん、ごめんね」

「なにを謝っているんだ?」

「色んなこと。重荷になっている自覚はあるの。私、就活頑張るから、もう少しだけここに置いてね」

「果歩は十分頑張っているぞ。ここはお前の家でもあるんだ。出ていく必要はない」

兄の優しさに涙腺が緩みそうになったが、グッとこらえてショートケーキを頬張った。

「美味しい」と無理やり笑みを作ったら、インターホンが鳴った。

「私が出る」

きっと宅配便だろう。

双子のオムツ使用量は多く、定期的にインターネットで購入している。

「はーい、今開けます」

玄関まで駆けていき、確認せずにドアを開けた果歩は、目を見開いて固まった。

「えっ……」

そこに立っていたのはスリーピースのスーツ姿の卓也だ。

別れから一年九か月ぶりに見る彼は、頬の肉が少し落ちて精悍さが増したように見える。

手土産とおぼしき紙袋を提げ、困ったような笑みを浮かべていた。

(ど、どうして……)

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