内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
『来たお客さん全員に声かけたの? すごい度胸だね。真似できないわ……』

またある時には、厳しい店長にも感心されたことがある。

『最近はみんなのやる気が感じられるな。すぐに辞めるアルバイトも減った気がするし、楽しそうに働いてくれると俺も気分がいい。みんな、相原の笑顔に引きずられているんだな』

仲間や上司との関係も良好で仕事は楽しく、梅雨時の偏頭痛以外に今の果歩に悩みはなかった。

遥と交代して従業員休憩室に入る。

六畳の部屋の壁際にはロッカーが十二個あり、鞄やコートをここにしまっている。

隅に小型冷蔵庫と洗面台があって、中央に向かい合わせにされた長机がふたつとパイプ椅子が六脚置かれていた。

机上には電気ポットと、籠の中に誰かが差し入れてくれたクッキーや煎餅がある。

十三時からの休憩は果歩ひとりで話し相手もなく、ロッカーから弁当を取り出すとパイプ椅子に腰かけた。

果歩が自分で作った弁当で、蓋を開けると敷き詰めたご飯の上に炒めたウインナーとキャベツ、目玉焼きがのっているだけの雑な内容だ。

果歩の料理の腕はいまいちである。

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