愛されてはいけないのに、冷徹社長の溺愛で秘密のベビーごと娶られました
 彼女に一連のKMシステムズの不正は、父ではなく崎本さんが黒幕だった改めて説明したそうだが、私に対する複雑な感情はそういう問題でもないのかもしれない。

 紘人も思うところがあったのか、江藤さんとはもう個人的に連絡は取らないと誓ってくれた。

『愛理を不安にさせるような真似はもうしたくない』

 そこまでしなくても、とは思ったけれど紘人がそう言うのでおとなしく従う。

 そういった日々に忙殺される中、少しだけ落ちついて今日に至る。

「ひとまず、これで全部か?」

「そうだね。生活する中で足りないものはその都度考えようか」

 空になった段ボールを畳みながら答える。持ってきた荷物は服や生活用品などが主で、そこまでの量はなかった。家具や家電はマンションにある程度揃っているし。

「コーヒーでも淹れようか?」

「あ、私がやるよ」

 紘人の提案に素早く反応する。キッチンを始めとする一通りの使い方や場所は教えてもらったから。

「愛理」

 ところがキッチンに向かおうとする私の手を彼が取り、そのまま背後から抱きしめられた。

「今日からよろしく。奥さん」

「こ、こちらこそよろしくお願いします」

 優しい声色と体勢についどぎまぎする。紘人のご両親への挨拶や顔合わせも無事に済ませ、私たちは晴れて入籍した。

 紘人のご両親はどちらも優しく穏やかな雰囲気で、真紘の存在もすんなり受け入れてもらえた。母との話も弾み、父にも労いの言葉をいただく。
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