愛されてはいけないのに、冷徹社長の溺愛で秘密のベビーごと娶られました

第五章 その唇にキスを

 四月に入り、暖かい日々が続いてお天気も安定している。過ごしやすい季節ではあるけれど、なにかと慌ただしい時季だ。

 土曜日の昼下がり、私は紘人の……正確にはこれから私や真紘の住むマンションで、荷物の仕分けに追われていた。

「愛理、こっちは?」

「あ、それ寝室にお願い」

 紘人に指示をして段ボールの中身を振り分けていく。引っ越し作業のため、ブルーのカットソーとジーンズというシンプルな組み合わせで、てきぱきと手を動かしていた。

 真紘は母に見てもらっていて作業が終わり次第、迎えに行く予定になっている。この調子なら思ったより早く片付くかもしれない。

 崎本さんの過去の所業は紘人の集めた資料によって裏付けされ、役員会で彼の解雇が決定した。さらに彼の数々の行いの中には犯罪行為にあたるものもあり、警察沙汰にまで発展。KMシステムズはしばし注目の的になった。

 父は責任をとる形で社長を退くかたちをとったが、当事者ではないのでそこまで会社や父に批判が集まりはせず、新社長に就任した紘人が外部の人間だったのもいいように働き、会社は新体制で経営されている。

 紘人はこの一件の後始末を兼ねた挨拶回りなどで忙しくしていて、そんな中で私や真紘に会う時間まで捻出し、正直倒れてしまうのではとずっと気が気ではなかった。

 さらには、どうして私が一連の件を知ったのか紘人に尋ねられ、正直に江藤さんとのやりとりを打ち明ける。紘人は驚きつつ改めてフォローをしてくれた。
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