いつも側に
芭月との暮しから離れて
実家へ帰ってから
私の情緒も落ち着いてきた。
宏香を預けて仕事に
出ようかと考え始めた。
両親にも優季にも相談した。
両親も優季も無理の内容に
「パートで良いのでは?」
と言ってくれた。
その年のクリスマスに
優季から誘われて
宏香と三人で水族館へ行き
三人で食事をして
イルミネーションを見た。
イルミネーションとか初めての
宏香は、凄く喜んで
手を繋いでいないと
どこかに行ってしまうほど。
私と優季で宏香の手を握り
私達に挟まれて
私達を交互に嬉しそうに見る宏香。
「ママっ。ゆうちゃん。
ママっ。ゆうちゃん。」
と、ずっと言っている。
それがおかしくて優季を見て
笑っていると
こちら側に歩いてくる人と
すれ違った。
狭い道ではないが
三人で手を繋いでいたから
優季が私達二人を
寄せてくれた。
その人が芭月だとわかったのは
宏香だが。
宏香は、優季の腰に顔を隠した。
優季は、思わず宏香を抱き上げて
「どうした?疲れたか?抱っこか?」
と、訊ねると
宏香は、優季の首に腕を回して
優季の首に頬を乗せた。
海彩は、おかしくなり
宏香の頭を撫でながら
すれ違った人物を見て
ハッとしたが
頭を下げた。
優季は、宏香を片手で抱き締め
海彩の手を握り
「さあ、帰ろう。
宏香が、風邪ひくと大変。」
と、言うから
「うん。」と答えると
「ゆうちゃん。
ひろか、プリン。」
「宏香、まだ食べるの?
わかった。
でも食べ過ぎたらだめだぞ。
ママが良いよって言ったらな。
また、点滴とかになったら
ママが悲しむから。」
「うん。わかったよ。
ゆうちゃん。」
と、三人は話しながら
進んで行った。