恋人たちの疵夏ーキヅナツー
宝石のような時間/その8
ケイコ
剣崎さんと話した後は、いつも神経が疲れる
今後のことはひと通り伝えて、要は”抜ける”申し出をした
「麻衣もこうだったら、こっちは”楽”なんだがな」
相和会も麻衣を、持て余してるということだろうか
カミソリのように鋭い人だから、真に受けるのもなんだが…
「それに”量”増えてるようだしな、困ったもんだ」
たしかに私に比べてかなり常用してるのは、間違いない
その辺も心配だ、ヤツ、やめる気あんのかな、実際
体やばいぞ、いい加減に…
...
とにかく剣崎さんは、私らのこと、全部把握してると思う
アキラのことだって、だいたいは知ってるんだろうな
「好きな男できたようだな」って、さらりと聞いてきたし
とりあえずアパートとか、”援助”はしばらく継続で、となった
相和会は2代目が建田さんに決まったから、これから動き出るかな
とにかく、あの錠剤の件は組にとっても、不都合な問題に違いない
そうなると、やっぱり麻衣の動きがカギか…、どうしてもそうなるか
あの人たちの出方、それ次第で決まってくるって訳か…
はあ…、結局、私とアキラの立場、どういうことになるの?
頭痛くなる、ほんとに…、まずはアキラと相談してからだ
...
そのあと、西咲学院の多美に会いに行った
本田多美代はサブの一人で、もともと陸上部の新人戦で出会った仲だ
私と違って今も部活両立してるし、偉いよ
だから、夏休みも部活で学校に来てることが多い
案の定、多美は校庭で練習に励んでた
休憩時間になるのを待って、私たちは校門の脇で話をした
私が抜けたら、後を任せられるの、多美しかいない
コイツはパワーあるし、何より、麻衣にもそれなりに牽制がきく
多美も私の”諸事情”はある程度、察していたらしく、話は早かった
私の話、多美は腕組みしながら黙って聞いてた
話し終わってしばらくしてから、首に巻いてるタオルを両手で握って話し出した
「私じゃ、おけいの代わり勤まんないよ、器じゃない」
いきなり固辞ってやつか
「多美しかいないよ、麻衣抑えて、仕切れるの。後輩のつなぎもあんたがほとんどやってくれてたじゃない」
多美はまた腕組みしてる
「第一、私はおけいと麻衣が火の玉川原の時、自分だけ逃げてったって思われてるからね」
あの時、私は火の玉川原には、多美のバイクに乗っかって行ったんだっけ
「あれは、私があんたに頼んだことじゃん。ほかの幹部連中呼んできてくれって」
「みんなはそう思ってないよ。臆病者ってみてるよ」
多美はあの荒子さんのあと、西咲学院背負ってるし、臆病者なんかじゃないし
「でも、あんたには、ずっと重い荷物背負わせてきちゃったからね…。客分的にいてくれりゃ、頑張ってみるけど…。おけいがいきなり引退じゃ、みんな動揺するし。当面、特別参加みたいな形でどう?」
ありがと多美、じゃあ、それで頼むよ
...
アキラ、とりあえずひとつめど付けたよ
会ったら全部話すから
明日は最終リハーサルだっけ、頑張ってね
そのあと、あの人とも会うんだよね、ギターの先生と
浮気はだめだぞ
ケイコ
剣崎さんと話した後は、いつも神経が疲れる
今後のことはひと通り伝えて、要は”抜ける”申し出をした
「麻衣もこうだったら、こっちは”楽”なんだがな」
相和会も麻衣を、持て余してるということだろうか
カミソリのように鋭い人だから、真に受けるのもなんだが…
「それに”量”増えてるようだしな、困ったもんだ」
たしかに私に比べてかなり常用してるのは、間違いない
その辺も心配だ、ヤツ、やめる気あんのかな、実際
体やばいぞ、いい加減に…
...
とにかく剣崎さんは、私らのこと、全部把握してると思う
アキラのことだって、だいたいは知ってるんだろうな
「好きな男できたようだな」って、さらりと聞いてきたし
とりあえずアパートとか、”援助”はしばらく継続で、となった
相和会は2代目が建田さんに決まったから、これから動き出るかな
とにかく、あの錠剤の件は組にとっても、不都合な問題に違いない
そうなると、やっぱり麻衣の動きがカギか…、どうしてもそうなるか
あの人たちの出方、それ次第で決まってくるって訳か…
はあ…、結局、私とアキラの立場、どういうことになるの?
頭痛くなる、ほんとに…、まずはアキラと相談してからだ
...
そのあと、西咲学院の多美に会いに行った
本田多美代はサブの一人で、もともと陸上部の新人戦で出会った仲だ
私と違って今も部活両立してるし、偉いよ
だから、夏休みも部活で学校に来てることが多い
案の定、多美は校庭で練習に励んでた
休憩時間になるのを待って、私たちは校門の脇で話をした
私が抜けたら、後を任せられるの、多美しかいない
コイツはパワーあるし、何より、麻衣にもそれなりに牽制がきく
多美も私の”諸事情”はある程度、察していたらしく、話は早かった
私の話、多美は腕組みしながら黙って聞いてた
話し終わってしばらくしてから、首に巻いてるタオルを両手で握って話し出した
「私じゃ、おけいの代わり勤まんないよ、器じゃない」
いきなり固辞ってやつか
「多美しかいないよ、麻衣抑えて、仕切れるの。後輩のつなぎもあんたがほとんどやってくれてたじゃない」
多美はまた腕組みしてる
「第一、私はおけいと麻衣が火の玉川原の時、自分だけ逃げてったって思われてるからね」
あの時、私は火の玉川原には、多美のバイクに乗っかって行ったんだっけ
「あれは、私があんたに頼んだことじゃん。ほかの幹部連中呼んできてくれって」
「みんなはそう思ってないよ。臆病者ってみてるよ」
多美はあの荒子さんのあと、西咲学院背負ってるし、臆病者なんかじゃないし
「でも、あんたには、ずっと重い荷物背負わせてきちゃったからね…。客分的にいてくれりゃ、頑張ってみるけど…。おけいがいきなり引退じゃ、みんな動揺するし。当面、特別参加みたいな形でどう?」
ありがと多美、じゃあ、それで頼むよ
...
アキラ、とりあえずひとつめど付けたよ
会ったら全部話すから
明日は最終リハーサルだっけ、頑張ってね
そのあと、あの人とも会うんだよね、ギターの先生と
浮気はだめだぞ