少女達の青春群像 ~舞、その愛~
橋本が降りた後、舞と響歌はしばらく何も話さなかった。
それにしたって、おかしな話よ。私は絶対に橋本君は響ちゃんのことが好きだとしか思えないのに、まさか違うなんて。
しかもその相手も、予想外な加藤さんと小長谷さんって!
そりゃ、加藤さんとはよく話しているけど、小長谷さんはどこからきたんだろう?
舞は考えに没頭中の響歌のことを横目で見てみた。
すぐその視線に気づく響歌。
「…何よ」
「あのさ、響ちゃんはどうして橋本君の噂を知っているの?」
「噂という程には大きなことではないし、信憑性もないんだけどね。この前、中葉君が橋本君のことを『四股男』と言っていたのよ」
四股男って!
「これは…また凄い話だね。響ちゃん、負けたと思った?」
「何、バカなことを言ってんのよ。こんなことに勝ったも負けたもないでしょ」
「そうだね」
「それにこんなの、本当に噂になっているの?と言いたいくらい小さなものよ。あんたが知らなくても、これはもう当たり前の話だわ。私だって、中葉君が橋本君をからかう為に言っていただけだと思っていたもの。でも、そうなのか、その中の2人。加藤さんか小長谷さんのどっちかかぁ。こうなると中葉君も侮れないものね」
「そうだね。でもさぁ、響ちゃんはなんですぐにその2人に絞れたのよ。確か4人と噂があるんだよね?」
「その答えは、簡単。後の2人は違うクラスだから」
あっ、そういうことか。
「ねぇ、ムッチーはどっちだと思う?」
今度は響歌が舞に訊いてきた。
「う~ん、やっぱり加藤さんの方かなぁ。ほら、加藤さんの方が目立つし、橋本君ともよく話しているでしょ。その一方、小長谷さんは地味だしさぁ」
舞が思っていることをそのまま口に出すと、響歌が呆れた顔をした。
「あんた、自分が小長谷さんよりも地味だとわかっていてそう言っているの?」
「なっ、それはそうなんだけど!」
「まぁ、いいわ。でもね、その小長谷さんの名が噂で出てきたということは、何か理由があるはずなのよ」
理由…ねぇ。
理由があるとしたらどんな理由だというのだ。
わけがわからない舞に、響歌が焦れて言った。
「橋本君が小長谷さんのことを好きだったら、例え小長谷さんが地味だろうが、橋本君とあまりしゃべっていなかろうが、候補に挙がってくるでしょ」
あっ、そうか。
いや、でも、そうだとすれば、やっぱり橋本君はその2人よりも響ちゃんのことが好きだと思うんだけどなぁ。噂だったら、響ちゃんとの方が断然大きいしさ。
私だけならともかく、さっちゃん達も同じ意見だし…って、いや、もうこれは考えても仕方がないわよね。
「やっぱり日を改めて橋本君を問い詰めるしかないよ」
「そうだね」
響歌も舞と同じ意見だった。
暴露大会はまだ終わっていない。橋本君にもしっかりと暴露ってもらいましょう!
ということで、この問題はひとまず解決したわよね。
あ~、今日は本当に充実した日だったわ。思いがけない告白に、思いがけない人達との出会いがあったんだもの。
これでテツヤ君も登場してくれていたら言うことないんだけどなぁ。
でも、ま、それは贅沢な話よね。噂の黒崎君が近くで見られただけでも収穫だもの。
これまで黒崎君とは隣のクラスということもあって10メートル以内には近づいたことが無かったけど、近くで見ると顔立ちも意外と男らしくてやっぱりモテそうなの。
もしかしたら高尾君よりもモテるのかもしれない。
それでもちょっと痩せ過ぎなのが、私的にはいただけないかなぁ。あれは高尾君よりも細いわよ。
もう少し太れば、もっと女の子が寄ってくるんじゃないかしらね。
あっ、でも、そうなると響ちゃんが大変になってしまうのか。
行き帰りの電車も違う、クラスも違う。考えてみれば響ちゃんって、やっぱり可哀想な立場なのかも?
せめてクラスが同じなら楽に近づけるのに。
それだったら私も、今以上に楽しめたのに!
いや、まだ嘆くのは早いわ。2年になるとクラス替えがあるからそこで一緒になればいいのよ。
一番理想なのは、私や響ちゃん達に、テツヤ君、黒崎君、高尾君よね。あっ、せっかくだから橋本君も入れてあげよう。
もちろん担任はビーバー以外に決まっている。
あぁ、なんて素敵なクラス編成なんでしょう!
それにしたって、おかしな話よ。私は絶対に橋本君は響ちゃんのことが好きだとしか思えないのに、まさか違うなんて。
しかもその相手も、予想外な加藤さんと小長谷さんって!
そりゃ、加藤さんとはよく話しているけど、小長谷さんはどこからきたんだろう?
舞は考えに没頭中の響歌のことを横目で見てみた。
すぐその視線に気づく響歌。
「…何よ」
「あのさ、響ちゃんはどうして橋本君の噂を知っているの?」
「噂という程には大きなことではないし、信憑性もないんだけどね。この前、中葉君が橋本君のことを『四股男』と言っていたのよ」
四股男って!
「これは…また凄い話だね。響ちゃん、負けたと思った?」
「何、バカなことを言ってんのよ。こんなことに勝ったも負けたもないでしょ」
「そうだね」
「それにこんなの、本当に噂になっているの?と言いたいくらい小さなものよ。あんたが知らなくても、これはもう当たり前の話だわ。私だって、中葉君が橋本君をからかう為に言っていただけだと思っていたもの。でも、そうなのか、その中の2人。加藤さんか小長谷さんのどっちかかぁ。こうなると中葉君も侮れないものね」
「そうだね。でもさぁ、響ちゃんはなんですぐにその2人に絞れたのよ。確か4人と噂があるんだよね?」
「その答えは、簡単。後の2人は違うクラスだから」
あっ、そういうことか。
「ねぇ、ムッチーはどっちだと思う?」
今度は響歌が舞に訊いてきた。
「う~ん、やっぱり加藤さんの方かなぁ。ほら、加藤さんの方が目立つし、橋本君ともよく話しているでしょ。その一方、小長谷さんは地味だしさぁ」
舞が思っていることをそのまま口に出すと、響歌が呆れた顔をした。
「あんた、自分が小長谷さんよりも地味だとわかっていてそう言っているの?」
「なっ、それはそうなんだけど!」
「まぁ、いいわ。でもね、その小長谷さんの名が噂で出てきたということは、何か理由があるはずなのよ」
理由…ねぇ。
理由があるとしたらどんな理由だというのだ。
わけがわからない舞に、響歌が焦れて言った。
「橋本君が小長谷さんのことを好きだったら、例え小長谷さんが地味だろうが、橋本君とあまりしゃべっていなかろうが、候補に挙がってくるでしょ」
あっ、そうか。
いや、でも、そうだとすれば、やっぱり橋本君はその2人よりも響ちゃんのことが好きだと思うんだけどなぁ。噂だったら、響ちゃんとの方が断然大きいしさ。
私だけならともかく、さっちゃん達も同じ意見だし…って、いや、もうこれは考えても仕方がないわよね。
「やっぱり日を改めて橋本君を問い詰めるしかないよ」
「そうだね」
響歌も舞と同じ意見だった。
暴露大会はまだ終わっていない。橋本君にもしっかりと暴露ってもらいましょう!
ということで、この問題はひとまず解決したわよね。
あ~、今日は本当に充実した日だったわ。思いがけない告白に、思いがけない人達との出会いがあったんだもの。
これでテツヤ君も登場してくれていたら言うことないんだけどなぁ。
でも、ま、それは贅沢な話よね。噂の黒崎君が近くで見られただけでも収穫だもの。
これまで黒崎君とは隣のクラスということもあって10メートル以内には近づいたことが無かったけど、近くで見ると顔立ちも意外と男らしくてやっぱりモテそうなの。
もしかしたら高尾君よりもモテるのかもしれない。
それでもちょっと痩せ過ぎなのが、私的にはいただけないかなぁ。あれは高尾君よりも細いわよ。
もう少し太れば、もっと女の子が寄ってくるんじゃないかしらね。
あっ、でも、そうなると響ちゃんが大変になってしまうのか。
行き帰りの電車も違う、クラスも違う。考えてみれば響ちゃんって、やっぱり可哀想な立場なのかも?
せめてクラスが同じなら楽に近づけるのに。
それだったら私も、今以上に楽しめたのに!
いや、まだ嘆くのは早いわ。2年になるとクラス替えがあるからそこで一緒になればいいのよ。
一番理想なのは、私や響ちゃん達に、テツヤ君、黒崎君、高尾君よね。あっ、せっかくだから橋本君も入れてあげよう。
もちろん担任はビーバー以外に決まっている。
あぁ、なんて素敵なクラス編成なんでしょう!