献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
枕に顔を押し付けてしばらく泣いた。
再びスマホが振動し、今度は母から【元気でやってる?】とメッセージが来ていた。
「……お母さん……」
月に一度ほど、いつもこのメッセージが送られてくる。
冷蔵庫の隣には、母から送られてきたりんごがまだ残っていた。
少しだけ体を起こし、返信をする。
【うん。元気だよ】
【そう。なんか欲しいものがあったら、言ってね】
【ありがとう】
いつも欲しいものは特に思い付かず、こうしてお礼だけを言っている。
お正月に、たまに帰ったり、帰らなかったり。
おばあちゃんがいなくなってから、お母さんは私に当たってしまったことを謝ってくれたことがある。
うれしかった記憶はあった。
それで元通りになれるかと思ったのに、私とお母さんのぎこちない距離感は、今でも変わっていない。
自分を変えるのは難しい。
清澄くんがこんな私を好きだと言ってくれて、変われると思った。
自信が湧いてきて、私の気持ちをもっと表に出してもいいんじゃないかって。
母にも、「大丈夫」「元気だよ」じゃなくて、「つらかった」「これからは変わりたい」ってちゃんと話せる気がしていたのに。
また私は、なにも変われなかったみたいだ。