献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
『今度の休み、ふたりでどこか行こうか』

女性にとってのデートとは、男が考えがちなエッチの前フリなどではない。
逆だ。
エッチをしなくとも大切にできるというホスピタリティだ。

そんな慈善事業をするわけないだろという男の本音も痛いほどわかるが、俺はもうそんなものは百年前に捨ててきた。

次のデートで彼女をもっと喜ばせてみせる。
そしてヒーローとヒロインとしての気持ちをさらに深め合うんだ。

──ところで、そんな俺と愛莉の関係って、いったいなんだ?

彼女に対するこの気持ちはなんなのだろう。
よくわからない。

「……ん?」

再び、スマホが振動する。
メッセージの着信画面には今度こそ愛莉の名前が表示され、ドキリとした。

開いてみると、必死な絵文字とともに送られてきたメッセージに頬が緩む。

【清澄くんは週末のデート、どこか行きたいところあるかな? よければ予約します!】

なんで愛莉が予約するんだよ、と心の中でツッコミを入れた。

本当に、男に都合よく扱われてきたのだろう。
その男たちを想像し、そして実際目にした彼女の元恋人を思い出すと、こめかみにピリッとした感覚が走る。

俺はそんなことしないよ。

【大丈夫だよ。お洒落して来てくれるだけでいい】

君が驚くほど甘やかしてあげる。


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