切れない縁2 青木バージョン

「なあ、隆二。
お前がこのまま村瀬と不倫なんか続けたら…
家族。会社での地位。出世。金。全て失う事になるんだぞ!
お前だって不倫で出世街道外れた上司をたくさん見てきただろ?
お前もそうなるんだよ。

でもな、まだ間に合う。

今夜、村瀬と別れれば、
美波ちゃん、親父さん、お袋さん、健一郎、お兄さん家族、そして美波ちゃんのご両親とこれからも家族として会えるけど、
もし美波ちゃんがお前と村瀬の浮気を知ったらって考えたことあるのか?

美波ちゃんは会社へ怒鳴り込むタイプではないけど、
お前が谷口 美波さんを好きになった南関東営業所で、
お前は最低な元カノと不倫してるんだぞ?

美しい波って書いて美波〈みなみ〉って俺に教えてくれたよな…
サーファーの夫と美波って名前の妻。
でももう、お前はサーファーじゃあないんだなぁ」

それまで黙っていた隆二が話し始めた。

「俺は、志穂には何も無いのが堪らなく切ないんだ。
旦那もいない。
子供もいない。
両親には、いまだに本社の不倫の件で罵られ続けてる。
ひとりぽっちの志穂を元気づけたいだけなんだ」

「そうか…
でもな隆二、良〜く考えてみろ。
村瀬が何も無いって言うけどさ、
旦那以外は全部 村瀬が蒔いた種だぞ?
これは、世間でいう因果応報ってやつ

隆二、こうなったらもう家族を捨ててさ、
村瀬と一緒になって死ぬまで元気づければ良い」

「村瀬は俺と結婚したいなんて思ってない!」
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